逆立ちした詩人―3

ボクの名前 音読みすると ジン・シ なんだ
だから 逆立ちすると シ・ジン になれるんだよ

「子」も「シ」って 音読みできること 忘れちゃいやだよ

ボクは ボク自信は 詩人じゃないんだ
一般的に 意識できる範囲の ボクはね

前意識・・・詩人 エリオットが
詩の地下工場と呼ぶ領域

海に浮かぶ氷山に例えると
波に揺られて 見え隠れする領域

無意識と意識との狭間
どっちつかずの領域

この前意識を活用する
もう ひとりのボクが詩人なんだよ

その正体は 「3.白きものよ」で割愛した
赤字の部分なのだよ


(幼年期)
深雪は・・・私の妹は
生まれてから ずっと髪を伸ばし続けた
母がそうした その理由を知った
妹の髪が伸びるのをやめたときに

深雪よ・・・私の妹よ
肉体は白き灰になろうとも
髪だけは燃え残れと私は祈った
祈らずにはいられなかった
     ※
(少年期)


原点は去来の為にあるのか 居留の為にあるのか
呟きの後 雨は振り 雨の中へ 呟きは潰え去った

街路樹は 久方の潤いに
幾許かの疲労を洗い流すのに
窓の内なる僕の掌には 虚無の砂漠
(全ての雨は白きものの化身なのか)

これまで めくられたページは
読み進むほどに その厚みを増し
これから めくられるページは
読み入るほどに その意味を増す

僕は唯一の読者を失い 作者であることを捨てて
吹き来る風を憧憬し 吹く去る風に彷徨した
吹き来る風は 瞬時に吹き去る風となったから

去来する水平線に 行き暮れる地平線
原稿用紙の海に没する夕陽を
何度も朝日につなぎながらも
やはり夕陽をむかえてしまう

行き着けば 麦畑 僕も窓の外なる人になる
行き付けば 麦畑 僕も窓の内なる者を捨てて

放棄された覚醒
永劫の睡眠 永劫の麦秋
人の道 逃れて遠く佇む少年を
時空の客観超えて追ってきた僕

僕もまた 人の道逃れて遠く
麦畑に佇みながら
少年の背中を凝視する
僕もまた 誰かに背を向けて

少年の呟き 自問自答のモノローグ
僕は少年の呟きに聞き入る
(キャッシュで払おうか?)
(ママの眠れるお薬で?)

(ボク 生きていたいけど
 生きるって やがて死ぬことさ
 そうだよ・・・眠るってことは 
 死ぬことの分割払いだからね)

(眠らなければ いいんだけど
 でも ボク すぐに
 眠くなるんだ・・・この人生)

(ママの眠れるお薬で払ったよ
 分割払いじゃ 利子がつくもの
 キャッシュで払って そして
 もう一度 ボク 生まれよう)

少年は振り返る 僕の方を
少年は黙殺する その瞳の奥底で
少年は見ている 延長線上の自分を
少年は指摘する 分割払いの僕を

(ボクの背中 見詰めていましたね
 ボクの呟き 聞いていましたね
 太郎は太郎の辞書を持ち
 花子は花子の辞書を持つという事実を)

(ボクの背中にも それはなく
 ボクの呟きにも すでになく
 ただ白きものへの矢印だけが
 行き場なくして ここに佇む)

(ボク 気付いてしまった
 ボク 傀儡師なんだって
 そして 花子はマリオネット)

(人が人の心 操れるなって
 個性の潜水艦じゃないか
 個性は気球に乗るべきなのに)

(泣けもしないのに 涙涸らしたよ
 辞書を捨てたよ 言葉も捨てたよ
 沈黙こそが 語るべきそれだから)

(辞書を捨てても 言葉を捨てても
 道はあったんだ こんなボクでも
 そこを歩めば そこが道になるから)

振り返った少年の視線を追った僕
そこには白きものがいた
彼は僕が今までそうしていたと同じく
僕の背中を凝視していたに違いなかった

前世と来世の狭間に現世はあった

            ※

(お前と出会い その名に回顧し
 お前の生きた髪に再来を感じた)


お前との出会いは 人の道逃れて遠き麦畑
花一輪 咲いてまた散る人の世に
出会うことなき三世の僕 一堂に会して
在来無二 慈愛の教えに振り向いたとき

39度の高熱に三日三晩うなされて
ついに血を吐くにいたって
全てを許せ 全てを許せなければ
自分も許されないと告げられたとき

白きものは 僕の上に振り積み
僕の熱を取り去っていった
白きものは 僕の下にも振り積み
僕の新たなる大地となった

確かに 捏造された過去だけど
ボクに 妹は いないのだけど

白きものよ お前は遠く
      まるで遠くからのように
白きものよ お前は降ってくるのに
      吾妹であるが如くに
      近しき浄土へと私を誘う

深雪・・・深い雪

深い雪が 大地を覆い
深い雪が 植物を守るから

春 植物たちは また萌えるのです

もし 深い雪がなかったら
植物は 氷点下になり
死滅するのです

冷たいようで 暖かい雪
それが 深雪 なのです

ボクは 深雪 でありたいのです
ボクは 深雪 でありたいのです





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この記事へのコメント

深雪
2009年03月17日 01:18
私も深雪でありたい一人です
空気時計
2009年03月17日 10:07
深雪さま
深雪という名前の女性は美人が多いと思います。

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