夜の静寂―2


水面にもポッカリと月が出た

以前のボクだったら
ありえないこと
舟に乗っているのに
自分で漕いではいない

船頭はさっき船出したばかりの
船着場の看板の話をする
「海には道はありません
 潮の流れはありますけどね。」

ボクには船頭の言葉より
「さっき」の感覚が気になっている
もう35年以上も前なのに
「さっき」という感覚が

加えて「以前のボク」の
以前がどれくらい以前なのか
自分の問いかけながら
もう答えが出ていることに気付く

この舟を漕ぐべきなのは
ボク自身なのに
我が物顔にボクでないボク
この船頭が漕ぎ続けている

この水面こそがボクの作業場
この水面こそがボクの落書帳
水面下のカオスたちに
ボクはこう告げる

「秩序のなかで構築された
 秩序ほど脆いものはない
 確かなる礎は秩序ではない
 混沌の中にこそ礎はある。」

水面の月は波間に飲まれ
八百万の煌きに変わる
天空を映す鏡でありながら
カオスのまなざしのように



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この記事へのコメント

Clover
2007年09月17日 00:14
「死の島」には、夜のように暗い絵もあります。目を凝らして見るような感覚で、想像力を掻きたてられます。
空気時計
2007年09月17日 09:59
Cloverさま
少なくとも4パターンありそうです。そのことで「 夜の静寂―3」となりそうです。

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