山頭火の日記(1/10)

昭和六年

一月十日 雪が積んでゐる、まだ降つてゐる、風がふく、寒く強く。

近来にない寒さだつた、寒(カン)が一時に押し寄せたやうだつた、
手拭も葱も御飯も凍つた、窓から吹雪が吹き込んで閉口した。
ありがたいことには炬燵があつた、粕汁があつた。
朝湯朝酒は勿体ないなあ。
今日は金比羅さんの初縁日で、おまゐりの老若男女が前の街道をぞろ/\通る、
信仰は寒さにもめげないのが尊い。
隙洩る風はこの部屋をいかにも佗住居らしくする、
そしてその風をこらへて、せくゞまつてゐる自分をいかにも佗人らしくする。……
寒いにつけても、ルンペン時代のつらさを思ひ出さずにはゐられない。
酒ほどうまいものはない、そして酒ほどにがいものはない、
――酒ではさんざ苦労した、苦労しすぎた。……

 雪の葉ぼたんのしゞま
 さら/\ふりつむ雪見ても
 雪夜、隣室は聖書ものがたり
・ヤス(安)かヤスかサム(寒)かサムか雪雪(ふれ売一句)
 吹雪吹きこむ窓の下で食べる




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原田酒舗
水を愛し、故郷を愛し、酒を愛した山頭火のお酒。醸造元の「金光酒造」は郷土が生んだ偉大な俳人種田山頭火


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1906(明治39)24歳
父と「種田酒造場」を始める。

酒を腐らせ やがて廃業する。

「酒と山頭火」のエピソードは多い。


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底本:「山頭火全集 第三巻」春陽堂書店
   1986(昭和61)年5月25日第1刷発行
   1989(平成元)年3月20日第4刷
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
※「騷」と「騒」の混在は底本通りにしました。
入力:さくらんぼ
校正:門田裕志、小林繁雄
2008年3月20日作成
2010年11月8日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

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安寧の日記(1/10)山頭火
Excerpt: 今年は山頭火についてブログの記事にしようと思い 倉庫から資料一式を探し出してきました
Weblog: 空気時計を見詰めながら
Tracked: 2011-01-10 17:15