安寧の日記(2/22)H2O

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詩集「洗罪意識」より 作品No.21 HO



ある日
夕焼けの土手で
彼女を見た

名も知らぬ
ただ可愛い子
そんな子を見た

誰かに似ているような
そんな子を見た

そうだ あの人に似ているなんて
気づくこともできないくらいに
私は夢中になった

でも 次の日
その子はいなかった
現実に消されたんだ
きっと


二十五年の時を超えて
ボクはぼくに邂逅する
そして ボクとぼくは
僕を模索(さが)している

お前との出会いは 人の道逃れて遠き麦畑
花一輪 咲いてまた散る人の世に
出会うことなき三世の僕 一堂に会して
在来無二 慈愛の教えに振り向いたとき

39度の高熱に三日三晩うなされて
ついに血を吐くにいたって
全てを許せ 全てを許せなければ
自分も許されないと告げられたとき

白きものは 僕の上に振り積み
僕の熱を取り去っていった
白きものは 僕の下にも振り積み
僕の新たなる大地となった


白きものよ 昨日を語れば
去来する雪 降り積もり
その基に命 息吹かせる
はるを待ち はるを彩る

白きものよ 明日を語れば
融解した雪 奔流となり
その流れに 意思は砂となり
はるを過ぎ なつをむかえる

白きものよ 今日を語れば
輪廻する雪 刹那を夢見て
三世を巡り 解脱を諦観する

白きものよ 何時を語れば
お前の本性なのか
語ろうが語るまいが同じことだ

全ては過程 全ては経過
白きものの 「白」でさえ
だがあえて 僕は呼ぶ
白きものと 白きものと

決して一堂に会することのない
現在・過去・未来の自分

ただ 文字を通じて
現在と過去の自分は邂逅できる

そんな時にも
未来の自分だけは欠落する

原点は去来の為にあるのか 居留の為にあるのか
呟きの後 雨は振り 雨の中へ 呟きは潰え去った


これまで めくられたページは
読み進むほどに その厚みを増し
これから めくられるページは
読み入るほどに その意味を増す


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放棄された覚醒
永劫の睡眠 永劫の麦秋
人の道 逃れて遠く佇む少年を
時空の客観超えて追ってきた僕

僕もまた 人の道逃れて遠く
麦畑に佇みながら
少年の背中を凝視する
僕もまた 誰かに背を向けて


少年の呟き 自問自答のモノローグ
僕は少年の呟きに聞き入る
(キャッシュで払おうか?)
(ママの眠れるお薬で?)

(ボク 生きていたいけど
 生きるって やがて死ぬことさ
 そうだよ・・・眠るってことは 
 死ぬことの分割払いだからね)

(眠らなければ いいんだけど
 でも ボク すぐに
 眠くなるんだ・・・この人生)

(ママの眠れるお薬で払ったよ
 分割払いじゃ 利子がつくもの
 キャッシュで払って そして
 もう一度 ボク 生まれよう)

少年は振り返る 僕の方を
少年は黙殺する その瞳の奥底で
少年は見ている 延長線上の自分を
少年は指摘する 分割払いの僕を

(ボクの背中 見詰めていましたね
 ボクの呟き 聞いていましたね
太郎は太郎の辞書を持ち
 花子は花子の辞書を持つという事実を)

(ボクの背中にも それはなく
 ボクの呟きにも すでになく
 ただ白きものへの矢印だけが
 行き場なくして ここに佇む)

(ボク 気付いてしまった
 ボク 傀儡師なんだって
 そして 花子はマリオネット)

(人が人の心 操れるなって
 個性の潜水艦じゃないか
 個性は気球に乗るべきなのに)

(泣けもしないのに 涙涸らしたよ
 辞書を捨てたよ 言葉も捨てたよ
 沈黙こそが 語るべきそれだから)

(辞書を捨てても 言葉を捨てても
 道はあったんだ こんなボクでも
 そこを歩めば そこが道になるから)

振り返った少年の視線を追った僕
そこには白きものがいた
彼は僕が今までそうしていたと同じく
僕の背中を凝視していたに違いなかった

前世と来世の狭間に現世はあった



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